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2011年5月28日土曜日

メモ07 放出されている放射性物質は2種類ではない:米国でセシウム134・ヨウ素132・テルル129・テルル132など検出される

中鬼と大鬼のふたりごとより引用

なぜセシウム137とヨウ素131しか測定値が発表されないのかずっと疑問に思っていました。
放射性物質はこの2種類ではなく、他にたくさんあるのでは?。

アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)が発表している大気中の放射性物質の数値(日本では測定すらされていない大気中の1立方メートルあたりの放射性物質量)から、アメリカ国内ではヨウ素131・セシウム137以外にも、セシウム134,セシウム136,ヨウ素132,テルル129,テルル132が検出されていることが分かりました。

4月24日の時点で229地点での大気中放射性物質の検出結果が発表されていますが、このうちテルル132は46地点から検出されています。テルル132の検出量が一番多かったのが、3月19日にアラスカのDutch Harborで検出された0.015Bq/m3でした。ちなみにテルル132の半減期は3.26日です。
同じようにセシウム134は44地点から検出されていて、その中での最大数値はカリフォルニアのAnaheimで3月25日に検出された0.0096Bq/m3。セシウム134の半減期は2年。
セシウム136は5地点で検出されていて、最大数値は3月24日にアラスカのNomeで検出された0.00045Bq/m3。セシウム136の半減期は13日。
ヨウ素132は32地点で検出されていて、最大数値は3月19日にアラスカのDutch Harborで検出された0.001Bq/m3。ヨウ素132の半減期は2.3時間です。
テルル129に関しては、一度だけ3月24日にアラスカのNomeで0.0045Bq/m3が検出されたのみです。テルル129の半減期は1.16時間。

※この記事を書いた後、EPAのデータベースで大気中の検出濃度を詳細に調べたところ、プルトニウム238・プルトニウム239・ウラン234・ウラン235・ウラン238・ストロンチウム89・タリウム208・ビスマス212・コバルト60・ベリリウム7など、上記以外にも数々の放射性物質が3・11後に検出されていました。これらのうち最も毒性の強いプルトニウムとウランについてはこちらで考察を行いました。EPAは一般の人がよく見るページでは、プルトニウムを含むこれらいくつかの物質の検出値を公表していません。この記事を最初に書いた時点では私もこのことに気づいていませんでした。

さて上記5つの放射性物質について、日本では測定できない・または検出されていない、なんてわけがないですね。米国での検出量は微量ですが、問題は比率です。セシウム137との量的比率を調べたところ、以下のようになっています。

セシウム134:セシウム137検出量の103%
セシウム136:セシウム137検出量の2%
ヨウ素132:セシウム137検出量の84%
テルル129:セシウム137検出量の8%
テルル129M:セシウム137検出量の13%
テルル132:セシウム137検出量の140%

半減期の長さから特に注目なのはセシウム134(半減期2年)です。日本ではセシウム134の放出量が測定されていないかもしくは情報公開されていません。したがって米国での検出比率を適用するしかありません。米国ではセシウム134はセシウム137とほぼ同量検出されているので、日本でもセシウム137と同じくらいの量のセシウム134が飛んでいる可能性が高いです。したがって放射性セシウム全体の量は、公表されているセシウム137の量の少なくとも2倍は見ておかないといけない。例えば東京には3月19日以降の累積で約7000メガベクレル/km2のセシウム137が降下しています(4月25日現在)が、放射性セシウム全体では14000メガベクレル/km2以上は降ったと推定できます。

セシウム137とヨウ素131のみ公表している日本政府には相当問題があります。情報が隠されている以上、このレベルなら安全だとかいうすべての議論の説得力はゼロです。

米国EPAは上記の物質以外にもバリウム140,コバルト60,ヨウ素133も調査範囲に入れていますが、今のところ未検出です(米国は「未検出」とする値が2桁小さいので、日本で「未検出」とされるレベルでも米国では検出データが出ます)。東電・政府はお詫びパフォーマンスなんかじゃなくて、まずは正直にすべての放射性物質量データを公開すべきではないでしょうか。

追記:プルトニウムやウランも米国で検出されていました。→こちら

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